自己紹介ー野島泉里:石と人生の豊かな関係

 

執念の「呼吸法」で掴んだ美大への道

こんにちは。

ミロの羅針盤館長のSenri 野島泉里(のじませんり)です。

私は主に石や木、ブロンズなどの彫刻を制作している彫刻家です。

1967年男3人兄弟の長男としての生まれました。長崎県島原市出身です。

Photo by Martha Nojima
島原の自然 手前に見えるのは眉山 背後には雲仙岳

小さいころから物作りが大好きだった私は、中学生のころに出会った美術教師に刺激を受け、美大への道を志しました。

高校時代は剣道部に所属していましたが、練習が終わった夜、誰もいない美術室でデッサンを描き続けました。

美大合格レベルのあまりの高さに絶望し、考えあぐねた挙句に編み出したのが**「呼吸法」**でした。

ゆっくり深呼吸をしながら手を動かす。

Drawing by Senri スコットランドの旅

なんとこの方法が効果を上げました。

全く光が見えない中に少しだけ上達のきっかけをつかむことが出来たのを覚えています。

その後も試行錯誤を繰り返しながら、東京芸大彫刻科の一次試験を現役で通過することができました。

今考えると、あの時が人生で一番頑張っていたのではないかと思います。

10年のスランプが教えてくれたこと

順調に思えた大学生活でしたが、2年生のころに激しいスランプに陥りました。

全く形の感覚がつかめない。

この「形が掴めない」という苦しみは、それから10年以上も続きました。

彫刻家にとっては致命的なことです。

このようなピンチを、どのようにして乗り越えられたのか自分でもわかりません。

Photo by Senri

ただ今になって言えることは、この苦しい時期こそが、彫刻というものに対する真の理解のために必要だったということです。

卒業後は彫刻家堀内健二先生に弟子入りし、公共彫刻の現場で石彫、粘土制作、ブロンズ鋳造、粘土制作など多岐にわたる技術を身に着けました。

そこで世界中のアーティストと出会い、後に妻となるマーサとも巡り合うことになります。

アメリカでの挫折と、マーサの言葉

1995年から5年間、カリフォルニア州オークランドで暮らしました。

生活は決して楽ではなく、アルバイトを転々としながら廃材を集めて作品を作る日々でした。

Working by Senri

ある時、寿司屋のウェイターをクビになり落胆していた僕に、マーサが言いました。

「石の表面を何時間も眺めているようなあなたに、ウェイターの仕事ができる訳ないじゃないの」

この言葉に救われた3日後、故郷の島原から生まれて初めての受注が入りました。

旅費と材料費で報酬は消えましたが、「彫刻家としての第一歩」を刻んだ確かな実感が残りました。

ノースオークランド・シニアセンターでの成功

さらに不思議なことが続きました。

島原での仕事を終えてアメリカに戻った1週間後、公共彫刻コンペの一次審査に通ったという知らせが届いたのです。

二次審査ではマーサのアドバイスを受け、リラックスして臨んだ結果、ノースオークランド・シニアセンターの公共作品を任されることになりました。

工事現場とアトリエを何度も往復し、喜びの中で作り上げた作品は高い評価を受けました。

ノースオークランドシニアセンター彫刻ガーデン「歓喜の園」

この成功を機に、アメリカの大企業オラクルの社長宅の仕事を手がけるなど、石の技術がプロフェッショナルとして認められていく喜びを噛み締めました。

故郷・島原への帰還、そして20か所を超える公共彫刻

2000年、私たちは拠点を日本の島原へと移しました。

アメリカでの実績や、帰省のたびに続けてきた制作が実を結び、地元でも作品の注文をいただけるようになりました。

以来、島原市内の公園や街路など、20か所を超える公共スペースに彫刻を設置させていただきました。

Work by Senri  雲仙岳災害記念碑 白御影石

それらは今も、市民の皆さんの日常の風景の中に溶け込んでいます。

Work by Senri   四小ストーリー 島原第4小学校

また、各地での個展活動も精力的に行い、公共の場だけでなく、個人の方々の暮らしの中にも直接作品を届けてきました。

Exhibition of Senri 長崎県美術館
Exhibition by Senri 崇城大学ギャラリー
オランダで200年の伝統のある美術家協会で地元の有名な彫刻家と二人展

一つひとつの石に形を与え、それを誰かに手渡すという積み重ねが、私の彫刻家としての歩みを支えてくれています。

境界を超えた交流が、今の私のエネルギー源

アメリカ生活や堀内先生との活動を通じて、オイルペインティングからパフォーマンスまで、専門を超えた多種多様なアーティストと交流してきました。

この経験が、私の「アートに対する知見」を広く、深いものにしてくれました。

7年間務めた美大の非常勤講師 学生の卒業制作展で

2015年から7年間務めた大学での指導や、今こうしてブログを書いているエネルギー源も、この時に得た「アートの本質」への理解にあります。

石を彫るという経験は人生の縮図です。

だからこそ、今、アートに興味がある専門以外の方々に対しても、その豊かさを共有できるのだと信じています。

おわりに ─ 新しい豊かさの創造へ

Photo by Senri

アート作品を作るのに、必ずしも高い技術が必要なわけではありません。
絵が下手だと思っている人が描く線の中にも、アートは躍動しています。

私は長い美術活動を通じてむしろそのようなことが分かるようになりました。

「手を動かしてモノを作る、感じる」という体験が、人間の成長に大きな影響を与えることも私は確信しています。

このサイトが、皆さん自身の新しい豊かさを創造するきっかけになってくれることを願っています。

 
 

野島泉里 Senri Nojima 略歴

1967 島原市に生まれる。
1986 東京造形大学入学 彫刻家 佐藤忠良氏に学ぶ
1990 同大学卒業。彫刻家堀内健二氏に師事
1993 カナダ フランスを遊学
1994 カナダケベック州Sant.Jean.Port.Joliにおいてアーテイストインレジデンスに参加。
   3ヶ月間彫刻を制作する。
1995 アメリカカリフォルニア州オークランドに移住。
2015 ​MIET Air オランダ 
アーチストインレジデンス 
   SSW(Scottish)sculpture workshop)スコットランド アーテイストインレジデンス

​現在 島原市に居住。彫刻制作を続ける。

個 展
1994 ラ ビゴーン Sant Jean Port Joli
1995 KALF サンフランシスコ
1999 絃鐙舎 “彫刻のある空間“ 島原市
2002 KTNギャラリー 長崎市
2005 ギャラリー庵 島原市
2008 ギャルリーコクトー 長崎市
   ギャラリー庵 野島泉里展~真夜中の風~ 島原市
2009 長崎玉屋 長崎市
2010 長崎県美術館 県民ギャラリーC室 長崎市
2011 県民百貨店美術画廊 熊本市
2013 県民百貨店美術画廊 熊本市
   野島泉里展 雲仙ビードロ美術館 雲仙市
2016 不二画廊 大阪市
2017 “いろいろかたち”野島泉里展 
崇城大学ギャラリー 熊本市

 
グループ展 
1994 春爛漫展  島原市

   はじめまして松山展 松山市
1996 彫刻家堀内健二氏が創設したNPO法人グローバルカルチャーセンターが世界で展開するイン   ターナショナルグループショーに第1回から参加。1回展は香港「パノラミックビジョン」フリンジクラブ、第2回「芸術は運命を変える」グランアルシェ パリ。第3回「シチズン」ソーマーギャラリー サンフランシスコ 第4回トルーカ メキシコ 第5回ワールドトレードセンター 大阪 第6回 戦争美術館 ソウル 第7回「復興」エヌグ国立美術館 ナイジェリア 第8回KickArts ケアンズ オーストラ 第9回カザンラク現代美術館 ブルガリア 各地域の主要なテーマを設定し展覧会、シンポジウムを開催している。現在までに15カ国200人以上のアーテイストが参加している。

1999 サラデエクスポジシオン トラスカラ文化協会 メキシコ
2003 日独交流展 KTNギャラリー 長崎市
2004 北村西望生誕地現代彫刻プロジェクト Interdependence Cのかたち 南有馬町 長崎県
2006 北村声望生誕地現代彫刻プロジェクト FROM LIFE 南島原市
2007 サイ展 長崎県美術館 長崎市
   湧き出る・人間のための芸術 新宿プロムナードギャラリー 東京都
2010 人間展 堀内健二との二人展 福岡市美術館
   アートバスケット展 長崎県美術館
2011 人間展グランプリ 村岡屋ギャラリー 福岡市
2012 CAF・N展 熊本県立美術館分館
   宮城県芸術祭 招待作家
2013 野島泉里・マーサ展 ギャラリーシルクロ 佐賀市

   CROSSING SPACE ギャラリーファウスト企画 ハノーバー ドイツ
2015 二人展Resonance Yke・Prins and Senri Nojima Puchli Studio  ハーグ市 オランダ 
2016 Resonance  ギャラリーEM 長崎市
2017 長崎アートパーティー KTNギャラリー 長崎市

コレクション
「大地の意思」高城病院 「空飛ぶ魚」光永紙店 
ブテイックチャング「ナイショナンショ」むらた 「The Birth」石川ウエデイング「無限」大場邸 「Face」 「希望の風になる」 パソナ中九州大分支店  雲仙ビードロ美術館  菜の花クリニック  大平食品  赤司邸 他多数

公共彫刻作品
1993 「SEED 2」(堀内健二氏デザイン)所沢文化会館 所沢市
1996 「源」中堀町商店街 島原市
1998 「Garden of Joy」ノースオークランドシニアセンター オークランド市 カリフォルニア
2000 「四小ストーリー」島原市立第四小学校 島原市
2002 「涼」上の町酒蔵ポケットパーク 島原市
2003 「波紋」森岳商店街 島原市
2004 「鯉の泳ぐ町サインオブジェ」島原市

     佐久間邸跡公園エクステリア 島原市
   (木工家 上田長次郎氏と共同制作)島原市
2005 「私たちはどこから来てどこへ行くのか」しまばら斎場 島原市

   「ナイチンゲールのためのモニュメント」島原市医師会看護学校 島原市
2007 「雲仙岳災害記念碑」島原市
2012 「坂本龍馬・勝海舟島原上陸記念碑」島原市
2015 「山の泉」 鯉の泳ぐ町多目的ホール 島原市