石の彫刻の基本的なやり方について初心者にも優しく解説します!

 Work and photo by Senri

皆さんこんにちは!ミロの羅針盤館長のSenriです。

彫刻の制作に40年ほど携わっています。

一口に彫刻といっても様々な表現方法がありますけどね。

石彫 木彫 塑像 ブロンズ鋳造 ミクストメデイア
インスタレーションなどなど。

僕自身はこれまで上記すべての表現方法に挑戦して
きました。

これらの経験から得た知識や技術を皆さんと共有で
きればと思っています。

また彫刻を作ることで得た気づきや、ものつくりの
楽しさもお伝えしていきます。

さて今回は石の彫刻について解説していきます。

石の彫刻は僕が最も長く取り組んできた彫刻のやり
方です。

僕が石を使う理由は、一言で言って石という素材が
持っている
美しさにあるんです。

彫刻は石にしろ、木にしろ、ブロンズにしろ、元々
の素材が美しいのが魅力です。

自然の中にある素材、つまり自然と人間の対話が
彫刻のだいご味なんです。

その中でも石という素材には、は何万年もかけて
封じ込められた時間を感じることができます。

人間の感覚からしたら“タイムレス”な魅力を持った
素材と言えるのではないか?なんて思ったりしてる
んですよね。

この記事を読むことで、石の彫刻についての大ま
かなイメージを持つことができるので、まずは
どうぞ最後までお付き合いください。

 

ではさっそく解説していきます。

石の彫刻のやり方①  石という素材について

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特徴1 とてつもなく長い年月存在している。

なんといっても石は、とんでもなく長く生きている
素材ということです。

生きてる?

僕は生きてると思うんです。

だってこんなに美しいんですから。

出来上がるのに何十万年、何百万年、出来上がって
からも皆さんの目に触れるまでに何億年とたっている
石もあります。

私たちが生きてきた年数よりも数百万倍長いわけです
ね。

そういうものを扱っているということに思いを馳せる
ということが、石の彫刻の大きな魅力だと思うんですよ。

 

特徴2  重い

次にあげる特徴として、おそらく皆さんが思っている
ように、石は非常に重い材料です。

石の種類にもよりますが、比重でいえば、大体2.5~3.5g

/ミリ立法、水の2.5から3.5倍。

石の業者の間で、石の大きさの単位に使う「サイ」
(1尺立法33x33x33㎝)で70~100kgもあります。

例えば20㎝くらいの座った猫の彫刻を作ったら出来上が
りで3kgくらいということですね。

でもこのずっしりとした重さが石の彫刻の魅力でもあり
ます。

特徴3  硬い

さらに石は基本的にとても硬い素材です。

ですから加工には大きな労力が必要になってくるのが
特徴です。

でも中にはやわらかい石もあります。

やわらかい石は彫りやすく、初心者にはお勧めです。

いろいろ種類もありますので、後ほどご紹介しますよ。

 

特徴4 耐久性がある

石は大変耐久性のある素材です。

古代遺跡を見れ
ばわかるように、一度作られると、
何千年何万年
と形を維持します。

風雨にさらされない場所なら半永久的に同じ姿で
存在することができるのも石の魅力ですね。

 

特徴5 もろい面もある

石は硬くて強固な反面、もろい面もあります。

木などの素材と比べてみるとわかりますが、細長く
成形した石の彫刻などをコンクリートの上に落とし
たら
ばらばらに壊れてしまいます。

木の彫刻を落としても少しへこむくらいでバラバラ
になることはありません。
このような特徴は実際に作品を作ってみて実感して
いくといいと思います。

 

特徴6 種類が豊富

石にはほとんど無数の種類があるといっていいくらい
の種類があります。

その中で色や模様のバリエーションが大変豊富で、これ
だけでも彫刻制作以前に石そのものの魅力が際立ってい
ています。

少し哲学的になりますが、僕個人としては、石が持って
いるすべてを包み込むような静けさが大好きです。

石の彫刻のやり方② 石の種類について


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次に石の種類について解説していきます。

さきほども説明したように、石には無数と言っていい
ほどの種類がありますから、ここでは彫刻に使う代表
な石について紹介していきたいと思います。

 

大理石

石の彫刻と言えば、大理石の彫刻を思い浮かべる人は多い
のではないでしょうか。

ギリシア・ローマ彫刻

ルネッサンス時代の有名なミケランジェロの彫刻

バロック時代の巨匠ベルニーニの彫刻

 

などは有名ですね。

大理石は程よい硬さで粒子が細かくとても彫刻に
制作には適した石です。

私もたくさんの作品を作ってきました。

細部の加工もやりやすく、磨きの加工も施すことができ
ます。

人物像のしっとりとした皮膚の質感まで表現することも
できます。

西洋社会の美術史を通じて使われてきた素材です。

色は白が代表的ですが、ベージュ、赤系 黒、グレイ、
黄色、青系、柄物と多彩です。

 

御影石(花崗岩)

御影石は彫刻の素材としては、最も堅牢な素材
言っていいでしょう。

地下奥深くで長い年月をかけて固まった深成岩
属します。

非常に硬く、傷がつきにくい上、野外でも劣化が
少ない石です。

彫刻の素材としては、最も制作が困難な部類の石
なりますが、長い歴史の中では多く使われており、
エジプト文明やメソポタミア文明などの遺跡には
多くの美しい彫刻が残されています。

現代でも御影石を使う彫刻家はたくさんいます。

私は特に野外彫刻などの大きい作品に御影石を
使ってきました。

 

制作が大変な反面、出来上がりの独自の力強さが
魅力です。

色は白系 グレー系 黒系 赤系、黄系 青系、
緑系、茶系、など多彩です。

基本的に石英、長石、黒雲母といった粒子がひしめ
き合っている見た目になっているものが多いです。

 

アラバスター

現代でもアメリカやヨーロッパで彫刻家の間で多く
使われている石です。

僕ががアメリカやオランダで制作をしていた時アラ
バスターを使う彫刻家とも多く出会いました。

大理石よりもやわらかく、細かい加工もでき、磨きも
しっかりかかります。

初心者にはうってつけの石です。

この石も美しいですね~。

  
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色や柄も豊富ですし、加工もしやすいです。中には
透光性に優れたものもあり、ヨーロッパでは伝統的
にランプシェードにも使われていました。

ただ、日本にそれほど流通しておらず、特定の石材
販売業者だけが取り扱っています。

 

ソープストーン(滑石)

もう一つ初心者の方にお勧めの石を紹介します。

それがソープストーンです。滑石とも言い、触ると
石鹼のようなつるっとした質感があります。

とても柔らかくで加工が容易です。磨いた時の光沢
も美しいです。

ソープストーン系の青田石、高麗石などは篆刻に使う
石として知られていますね。

日本では大きいものは手に入りにくいですが、1kg
くらいまでのものならアマゾンや楽天で簡単に購入
することができます。

小中学校の教材にもなっており、一番手軽な石彫の
材料と言えます。

他にも彫刻できる石としては

砂岩

安山岩

玄武岩

凝灰岩

などがありますが、また別の機会に紹介しようと思います。

石の彫刻のやり方③ 石の制作方法

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石の彫刻は削り出す作業(カービング)

彫刻の作り方は大きく分けると二つになります。

彫りだす(カービング)

盛り上げる(モデリング)

石の彫刻は石の塊から余計な部分を削り落として
形を作る方法(カービング)です。

 

ルネッサンスの巨匠ミケランジェロ

「大理石にの塊の中に天使が見えた。だから彼を

自由にするために彫り続けたのだ」

と言った言葉が残っています。

カービングは彫りすぎると元には戻せないという

緊張感があります。

その逆に粘土石膏を使うモデリングは何度でも

やり直しがききます。

カービング技法の種類

カービングの中にもいろいろな技法がありますが
とりあえず特別な道具のいらないもので代表的な
ものを紹介しましょう。

丸彫り(360度どこから見ても完成されている立体像)

をしていくとき大体どちらかになるからです。


(丸彫りトレリーフの違いや方法については別に解説していく予定です。)

それは

エジプト式(四面法)

ミケランジェロ法(前面法)

の二つです。

 

エジプト式(四面法)

四角い原石に正面、側面、天端面からそれぞれ、
デッサンを施し、それぞれの方向からかまぼこ
に削り出します。
(ちょっとイメージしずらいですかね。この技法に
ついても後ほど別の記事を書きますね。)

3方向から削り出した後のカクカクした形からさら
に削って丸みを出していく方法です。

この方法では、イメージした作品のプロポーション
を比較的容易に再現することができます。

ミケランジェロ式(前面法)

ミケランジェロの奴隷像が有名ですが、石の塊から
「潮が引いていくように彫る」やり方です。

例えば原石の前面に一番飛び出しているところが鼻だ
としたら、鼻の頭から彫っていきます。

この方法では、彫り始めて比較的最初の段階で完成
作品のイメージがしやすいという特徴があります。


動画

詳しくは別に解説記事を書いていますのでこちらをご覧ください。
↓       ↓        ↓
石の彫刻の彫り方の種類についてわかりやすく解説します。

石の彫刻のやり方④ 石の彫刻を作るための道具について

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石を加工する道具は石の種類によって変わってきます。

ここでは石の種類別に道具を解説していきます。ここ
では彫り方についても大まかに触れておきます。

道具の詳しい使い方についてはこちらをご覧ください。

大理石

石をセリ矢で作りたい大きさに割った後は、コヤスケ
などを使って大きな角をとっていきます。

大理石の仕事ですべて手彫りの場合、ポイントチゼル
を使って彫り進めていく時間が長くなります。

大まかな形ができてきたら歯のみ、平のみ、やすり掛け
と移って形を整えていきます。

やすり掛けが終わったら砥石で磨きの下地を整いえ、
耐水ペーパーで磨きます。

石を割る
セリ矢 コヤスケ

石を彫る
ポイントチゼル
平のみ
歯のみ

石を削る
平やすり
半丸やすり
超合金チップやすり
ダイヤモンドやすり

石を磨く
砥石
耐水ペーパー(120~2000番)

ハンマ大(1.0~1.1kg)
ハンマ小(0.7~0.9kg)

ダイヤモンドブレード
ダイヤモンドカップ

デイスクグラインダー
軸付きグラインダー
ルーター

御影石

石をセリ矢で作りたい大きさに割った後は、コヤスケ
などを使って大きな角をとっていきます。

御影石はすべて手彫りの場合、はつりノミを使って
彫り進めていきます。

この作業もまあ、根気のいる仕事ではありますが、リズム
に乗ってキーンキーンとノミが石に当たる音を聞きながら
ゆっくりとした時間が流れていくのを味わうのもいいもん
ですよ。

大まかな形ができてきたら刃トンボ、ビシャンと移っ
て形を整えていきます。

御影石は非常に硬いのでやすり掛けの工程はありません。

刃トンボなどで、表面を整えた後に荒い目の砥石
表面を慣らしていきます。

この作業はとてつもない時間と根気を要します。

砥石の番ていを上げていき、つやが出るとことまで
仕上げます。

エジプトやメソポタミアの古代彫刻を作った人々は
すべてこのやり方ですね。

ただ現代は御影石の加工をするときは機械を使うの
一般的です。

石を割る
セリ矢
コヤスケ
写真

石を彫る
はつりのみ
平のみ
刃トンボ
ビシャン

 

石を削る
ダイヤモンドブレード
ダイヤモンドカップ
研磨砥石(粗目中目細目)
デイスクグラインダー
研磨砥石用グラインダー
軸付きグラインダー

写真

砥石(粗目中目細目 100 200 400 800 F S)
電動ポリッシャー
エアーポリッシャー

 

アラバスター

基本的には大理石の道具と同じです。ただ大理石
よりやわらかいので、それぞれの道具を使う頻度
は変わってきます。

例えば、歯ノミやすりを使ってかなりの部分の
形を作っていくことも十分できます。

磨きは耐水ペーパーで行います。

ソープストーン(滑石)

ソープストーンは大きいものは大理石に使う歯ノミ
で大まかな形をどんどん彫っていくこと
ができます。

その後はやすりを使って形を整えていきます。

アラバスターとほぼ同じですが、アラバスターより
柔らかいです。

小さいものはやすりだけでもどんどん成形すること
ができます。

ソープストーンは篆刻用の青田石や高麗石と同じもの
ですので篆刻用の平刀や斜刀などを使っても良いと
思います。

磨きは耐水ペーパーを使います。

 

おわりに

今回は石の彫刻のやり方について解説してきました。

石という素材の特徴について種類について石の
彫刻のやり方がやり直しのきかないカービングだと
いうこと、そして道具についてのあらましが分って
いただけたんではないかと思います。

これから石の彫刻をやってみたいという方は是非参考
にされてください。

勿論これだけで十分ではありませんので、石の彫刻の
作り方についてどんどん発信していきますから、何度

でもこのサイトに立ち寄ってくださいね。

それではまたお会いしましょう。

 

 

 

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