こんにちは、ミロの羅針盤・館長のSenriです。
「お世話になった創業者や恩師の功績を称えて、胸像を建てたい」 「亡くなった大切な家族の面影を、色褪せない形で遺したい」
そう考えたとき、多くの方が「ブロンズ像って、一体どうやって作ったらいいんだろう?」「費用はどれくらいかかるの?」という疑問を持たれるのではないでしょうか。
この記事では、ブロンズ像を建てたいと考えている方に向けて、その意義、制作のプロセス、制作期間や費用の目安を、プロの彫刻家の経験を踏まえて詳しく解説します。
そして私がこれまで肖像彫刻を手掛けた中で得ることが出来た、大切な「命の記憶」のエピソードをご紹介致します。
この記事を読むと、
ブロンズ像を作る意義
制作のプロセス
制作期間や費用の目安
制作した人物のエピソード
を知ることが出来ますので、ぜひ最後までお付き合いください。
ブロンズ像の作り方 像をを作る意義:その人の「精神」をとどめる

なぜ、私たちはわざわざブロンズ像を作るのでしょうか。
写真やビデオがこれだけ普及した現代にあっても、三次元の「像」を建てることには、やはり特別な意味があります。
その人の精神を永遠に空間にとどめる
ブロンズ像を作る動機と経緯は様々です。
今生きている人に対して、周りの人々がぜひあの人の功績を残したいと思う場合もあります。
あるいは故人をしのぶ残された人々によって建立されることもあります。
どちらの場合でもそれは、「その人が生涯をかけて貫いた精神、情熱、功績あるいは周囲に注いだ愛情の気配を、私たちが生きている空間に永遠にとどめるため」です。
ブロンズ(青銅)という素材は、何百年経っても風化することなく、内部にその生命を宿したまま独特の深い陰影を保ち続けます。
心を奮い立たせる拠りどころとして
像の前に立ったとき、あの人は本当に素晴らしい功績を残したと心からたたえ、誇りに思うことが出来る。
故人の像であれば、遺された人々が「ああ、あの人が今もそこで見守ってくれている」と感じられるような、心の拠り所となる。
そして先人の精神を思い出して心を奮い立たせることができる。
それらの中に、ブロンズ像を建立する最大の意義があるといえます。
ブロンズ像の作り方 どこに頼めばできるのか?

「ブロンズ像を作りたいけれど、どこに相談すればいいか分からない」という方は多いと思います。
ブロンズ彫刻の制作依頼の方法は大きく分けて2つあります。
原型制作も手掛けるブロンズ鋳造会社に依頼する
日本では伝統的に比較的大きいブロンズ鋳造会社が熟練の彫刻家と提携しています。
原型制作も手掛けるブロンズ鋳造会社に依頼すれば、原形の制作、ブロンズ鋳造、設置までやってくれます。
彫刻家に直接依頼する
もう一つは個人の彫刻家へ直接依頼する方法です。
知り合いに彫刻家がいることは少ないかもしれませんが、インターネットなどでブロンズ像を手掛ける好みに合った彫刻家を探すことが出来ます。
彫刻家は、ブロンズ鋳造会社に依頼し鋳造の過程を経て、台座の手配、設置までやってくれます。
原型制作は命を吹き込む熟練の技
ブロンズ像は、鋳造(金属にする工程)の前段階である「粘土の原型」を制作することから始まります。
ここでモデルの人柄や生命感を表現できるのは、熟練の技術を持った彫刻家だけです。
ブロンズ鋳造会社にお願いするにしろ、個人の彫刻家に依頼するにしろ、この点は同じです。
直接彫刻家に依頼するメリットとしては、地域の歴史やご遺族の想いを聴きとったりと、じっくりとコミュニケーションをとることが出来ます。
設置する空間(ロケーション)に合わせて、御影石の台座や銘板の手配までをトータルでディレクションしてもらうことができます。
ブロンズ像とは違った形の記念碑についてはこちらで解説しています。
ブロンズ像の作り方 ブロンズ像の制作プロセス

実際のブロンズ像(胸像)が完成するまでには、彫刻家、職人たちのネットワークと高度な技術が結集した、以下のような5つのステップがあります。
① 取材・写真撮影(資料集め)
モデルとなる方がご存命の場合は、彫刻家がが直接取材を兼ねてお会いし、写真を撮影させていただきます。
遠方などの事情で取材が難しい場合は、お顔の写真を正面、左右側面、後面、その中間の角度から4枚の「8方向」から撮影して郵送していただきます。 ((※この際、普段の表情を見るために、メガネを外した状態と、かけた状態の両方の写真を数枚ずつご用意ください。)
故人の場合は、生前の人柄が伝わるスナップ写真などを、できるだけ多くご用意いただきます。
② 粘土原型の制作(命を吹き込む工程)

写真やエピソードを基に、まずは工房で粘土による原型を制作します。
形がある程度仕上がった段階で、発注者様に実際に工房へお越しいただくか、お写真で確認をしていただきます。
「もう少し目元を優しく」「ここの雰囲気を直してほしい」といったご意見を伺いながら、納得がいくまで丁寧に修正を重ねていきます。
③ 石膏像への移し替え
完成した粘土の原型は、そのままでは乾燥して崩れてしまいます。
そのため、一度石膏で型を取り、粘土から堅牢な「石膏像」へと姿を移し替えます。

④ ブロンズ鋳造と着色

故 村上寅美氏は元熊本県議会議長を務められました。
大変人望が厚く、生まれ故郷の地域の皆様の発願によってブロンズ像が建立されました。
ここからは、ブロンズ鋳造の専門工場へとバトンを渡します。
一般的に肖像彫刻を手掛ける鋳造工場は「砂型鋳造」を行っています。砂型の製作には熟練の職人による高度な技術が必要です。これによって、石膏原型を寸分たがわずブロンズ(青銅)に再現することが出来ます。
(鋳造方法はほかにも古代文明から続くロストワックス法などもあります。)
熟練の鋳物職人の手によって、外型、内型の制作を経て、1000℃を超えるドロドロに溶けた青銅が型に流し込まれ、金属の像へと生まれ変わります。
仕上げの着色は、設置場所(室内か屋外かなど)合わせて、緑青(ろくしょう)、茶、黒などの最適な色合いを選んでいきます。
⑤ 設置作業と引き渡し
完成したブロンズ像を現地へ運搬し、設置を行います。
屋外であれば重厚な御影石など石材の台座、室内であれば木製の台座を制作し、功績を記した「銘板(めいばん)」を合わせて安全第一で取り付け、引き渡しとなります。
功績などの文面は台座の石に直接彫り込まれる場合もあります。



除幕式・オープニングセレモニー
ブロンズ像の建立においては、公人などの場合、除幕式を行うケースもあります。
それはブロンズ像の建立が、その人の功績を遺したい、多くの人に知らしめたい、との志から発願されているからです。除幕式はどこまでもモデルになった人をたたえ、歴史の節目にその思いを共有しあう儀式です。
Senriの体験
私も除幕式に参加させていただくことがあります。
こちらの除幕式では、会場に紅白の幕が張られ、神事の執り行いに始まり、来賓のあいさつ、建立者代表のあいさつなどがあり、私にも一言作品制作のエピソードなどをお話しする機会をいたいただきました。
大切な人への思いを残しゆく仕事にかかわらせていただくことは、責任は大きいですが大変光栄なことです。Senri撮影 除幕式の様子
ブロンズ像の作り方 胸像の制作費用の目安と制作期間

多くの方が気になる費用について、一般的な「胸像」の目安をご紹介します。ご予算を検討される際の参考にしてください。
胸像・制作費(本体価格)
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実物より少し小さめ:1尺7寸(約50cm)/ 85万円〜
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実物大:2尺(約60cm)/ 105万円〜
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実物より少し大きめ:2尺2寸(約66cm)/ 120万円〜 (※価格は税別の目安です。服装が和服の場合は10%割増、メガネを着用される場合は5%割増となります。)
(現在物価が上昇に伴い、鋳造費が変動しています。恐れ入りますがその都度お見積りをさせていただきます。)
その他のオプション費用
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ブロンズ銘板(作例):たて45cm × 幅15cm(5~7文字)/ 10~15万円
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屋外用 御影石台座:80万円 〜 200万円~(石の質やデザインにより異なります)
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屋内用 木製台:10万円 〜 50万円(材質やデザインにより異なります)
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この他に、野外であればコンクリート基礎打ち、台座を設置するためのクレーン使用などの設置費用、運搬費用を合わせて30万円前後がかかります。(遠方であれば運搬費が大きくなります。)
※これら以外にも、両手に収まる小さな「頭像」から、等身大の「全身像」、壁に掛ける「レリーフ」まで、ご予算に応じて見積もりを作成いたしますのでお気軽にご相談ください。
ブロンズ像を作るための制作期間
ブロンズ像を完成させるには、モデルになる人に関する情報の聴き取りに始まり、粘土原型制作、そして石膏かたどりを経て、ブロンズ鋳造に回されます。
鋳造過程が一般的に2か月かかると言われています。鋳造工場が忙しくすぐに対応できないことも多々あります。
以上のことから、すべての工程が終了するまで約半年くらいを見ていただくことになると思います。
ブロンズ像を建立する記念日などが決まっている場合は、早めに計画を立てられることをお勧めします。
ブロンズ像の作り方 肖像彫刻に宿る想い:制作現場のエピソード
ここで、私がこれまで手がけさせていただいたブロンズ像の制作において、どのような出会いがあったか、2つの記録をご紹介します。
① 故・東正義先生の像(社会福祉法人ぎんなん幼愛園 初代理事長)

昭和8年生まれの東先生は、戦前戦後の激動の時代を生き抜かれ、西日本における砂利業界のパイオニアとして一時代を築かれた方です。 その後半生には、幼児教育に凄まじい情熱を燃やされ、ひとかたならぬ愛情を子供たちに注がれました。毎朝、市場に行ってはご自身のポケットマネーで新鮮な食べ物を買い求めて子供たちに与えていたというエピソードはあまりにも有名です。また、街のどこかで卒園生を見かけると、大人になってからであってもお小遣いをあげていたそうです。
その温かな人間的魅力で、亡くなった今も多くの人々に心から慕われている東先生。その幼児教育における「愛の精神と思想」を後世に引き継ぐため、胸像の建立が決定しました。
制作のお話をいただいてからは、身近な方々からたくさんのお話を伺い、皆さんの意見を取り入れながら構想を練りました。激動の時代を生き抜いた「強靭な意思と遠望」、そして子供たちの未来を見つめる「優しいまなざし」。その奥にある深い愛情をこのブロンズ像に表現しました。除幕式で皆様が喜んでくださったときは、心からほっといたしました。
② 有明海の明るい未来を展望する「海の守り人」(県漁連会長の像)

もう一方は、漁業関係の重鎮であり、熊本県漁連の会長を務められている藤森隆美氏のブロンズ像です。 かつて「宝の海」と称された有明海。代々漁師の家に生まれ、にぎやかだった昔の浜の暮らしを愛し、懐かしんでおられた会長様は、「美しく豊かな海をもう一度よみがえらせたい」という熱い想いを私に語ってくださいました。
この彫刻では、有明海の明るい未来をじっと見つめ、未来の漁業を先導する「海の守り人」としての堂々たる姿と意志を表現させていただきました。
ブロンズ像を作られる皆様へ(おわりに)
ブロンズ像は肖像彫刻ですから、モデルに似ていることはとても大切なことです。
しかし大事なことは単に形を似せるということ以上のものだと考えています。
ブロンズ像の制作は、モデルが今現在生きている方であれば、その人の中に息づいている生き様のようなものを、故人であれば、残された人々の中に眠る目に見えない記憶を集め、ひとつの造形として結晶化させる共同作業です。
これからブロンズ像の建立を考えていらっしゃる方が、心から満足される素晴らしい像が出来ることをとを願っております。











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